「手を見ればその人がどんな人なのか分かるんだよ」

そう言って母はまだ幼い私の手の甲を撫でた。

 

私は自分の手が好きではなかった。

母や祖母、妹は綺麗な縦爪なのに、自分だけ父に似て横爪で掌が広くゴツゴツした手が嫌いだった。

 

料理をする母の手が綺麗で羨ましかった。

いつか大きくなったら・・・と思っていたけど、そのまま大きくなっただけだった。

 

最近、玉ねぎを切りながらふと母の手を羨ましく感じていたことを思い出した。

猫の手にしてザクザクと切り進める。

その手つきが幼い頃に見ていた母の手と重なった。

 

翌朝、顔を洗うと前日に切った玉ねぎの香りが残ってることに気付いた。

母の手と似たにおいがした。

やっとこの年になって、少しづつ母の手に近付き始めていることを感じた朝だった。

 

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