秋にお迎えした助手のりつの話。
彼は最初のご家族から恐らくもう、忘れられてしまった猫です。
高齢のご夫婦に家族として迎えられましたが認知症を発症してしまい
巡り巡って私のもとにやってきました。
お迎えした初日の夜は小さな物音に反応して夜も眠らず暗い所でじっとしていました。
それがだんだんと昼間に同じ部屋の隅で眠るようになり
夜も同じ部屋に居るようになり
毎晩同じ布団で眠るようになりました。
今では毎晩布団に入ろうと呼びに来るようになりました。
段々と近づいてくる心の距離。
最初、りつ君の話を頂いたとき
数年前に看取った猫を一番に思い出しました。
中学生の頃に保護してずっと一緒だった心の支え。
看取った後、猫はもう迎えないと決めました。
看取るのが寂しいというのもありますが
あの子の記憶が他の猫で薄れてしまうのが怖かったんです。
小さかった頃の鳴き声や少しづつ大きくなった柔らかい重み
膝に乗ってくるときの狙いを定めるまん丸な目
ザラリとした舌の感覚をそのまま自分の中にそのまま残しておきたかったんです。
りつ君をお迎えするまで色んな方から声を掛けられました。
保護された命なので毎回迷いましたが直前でご縁がなくなりどこかでホッと安心していました。
今年の夏、
偶然にもりつ君の話が舞い込んできました。
忘れたくない私と
忘れられたりつ君。
奇しくもあの子と同じグレーのしましま模様。
カチッとパズルのピースがはまったような気がしてお迎えしました。
今ではすっかり慣れたりつ君。
まるで数年前から居るような馴染みよう。
元のご家族の認知症は進む一方だと人伝に聞きました。
例え記憶から消えてしまっても心のどこかには必ず居続ける。
それは元のご家族だけにいえることではなく
私にも言えることだと思います。
そしてどのような経緯であっても彼がうちに来てくれて良かったと
ご縁を繋いでくださった方に感謝しています。
これからも助手のりつ君とルームでお待ちしております。
投稿者プロフィール
最新の投稿
- 2024年11月21日日 常*麦茶
- 2024年11月12日カウンセラーに聞きました*何をしている時に一番幸せを感じますか?(#238)
- 2024年11月1日日 常*おでんと秋
- 2024年7月31日写 真*夕立