君たちはすぐ大きくなっちゃった。
ホントにあっという間だったんだよ。
楽しかったんだよ。今もね。
ひと足先に空に還ってしまった母が高校生の私に毎晩のように話していた。
もう20年近く前のこと。
君たちはすぐ大きくなっていく。
ついのこの間までミルクの呑みムラについて悩んだり夜寝てくれないことを嘆いたりしていたのに
あっという間に春から年長さんと年少さんになる。
友達の話をして日々の出来事を正確に伝えてきて、年長はランドセルの色に悩む。
母が辿ったであろう道をあとからゆっくりと辿る私がいて同じことを子どもたちに思う。
「子育てなんてあっという間だったわ」
これまで出会ってきた子育てOGたちが口を揃えていう。
ボランティアで赤ちゃん訪問をする側として同じことを乳児を持つママさんに言いそうになって思い止まる。
思えば一夜、一晩が長かった。
部屋をぐるぐる歩き回って縦揺れ横揺れする時間が永遠に思えた。
カチカチと進む時計の針に絶望した。
夕方のが来なければいいのにと昼食に何かを掻き込みながら思った。
明け方、自棄になって映画を見始めるとストンと泣き止んでスヤスヤ寝始めた腕の中の生き物をつい先日まで見ていた。
そんな夜を何年も続けた。
そして今でも些細なことで夜中に起こされる。
のどか乾いたとか、トイレだとか、怖い夢を見たとか。
私たちの多くは同じ道を母親に辿らせて成長した。
必死だった彼女たちはある時ふと子どもを見ると思ったより成長していて、あっという間だと表現する。
ここまで無事に生きて育てられたからこそ言える。
複雑な事情に涙を飲む母親になりたかった人を何人も見た。
その横で私たちは子育てをしている。
そして、子育てを終えた人が歩いていく。
世界は循環していると様々な分野の人たちがいう。
季節が移り変わり
時を刻み、命のバトンを繋ぐ。
年度末に保育士さんたちに頭を下げながら色んなことを思う。
みんなひとりじゃないよ
お疲れ様。
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