毎月出題される会社からのお題。
今月は「お子さん(学生さん)の持つ悩み」について。
ご依頼を頂く約7割がお子さんのカウンセリングです。
不登校・友人関係・進路などの相談を伺っています。
ただでさえ思春期で自分と言う人格がハッキリしていない中で
人生に大きく影響する進路を3年、4年毎に決定していく、私も経験してきましたが
なかなかストレスとプレッシャーが大きいです。
更に学校や部活、習い事、アルバイト先、家庭内で問題が発生したら
正直キャパオーバーです。無理です。
それを何とかうまく穏便に調整して角が立たないようにと
真面目に悩んだお子さんが親御さんと一緒にお越しになるケースが圧倒的に多いです。
そして、中には純粋な意味での「挫折」というより誰かしらに砕かれた「挫折」を経験しています。
「陥れられた」とも表現できる方もいます。
頑張って努力して得たポジションを妬まれて一番仲の良いと思っていた
心をゆるした人や絶対的な存在の人から心無い言葉で傷付けられたという経験です。
相談に来られたお子さん(以下:彼、彼女)は最初からは語りません。
一緒にお越しになった親御さんが心配されるくらい頑なに口を閉じたままです。
個人的には当然だと思います。
何故なら、この人誰?状態の初対面の知らない人に話すなんて論外です。
まして思春期。自分でもどうしたらいいか分からないのです。
なので彼、彼女が話す気になるまで他の話をします。
おすすめのゲームや漫画ある?アニメ今期何見てる?
最近何にハマってる?これだけど一緒にゲームする?いいよ!
そんなやり取りをします。
親御さんからしたら何をやっているんだろう?と歯がゆく感じるかもしれません。
決められた時間を有効活用して少ない回数で結果を出して欲しい、どうにかして欲しいというのが本音かと存じます。
しかし、話したくない人に話をさせるのは取り調べと同じです。
時間が掛かるかも知れませんが気持ちが向くまで、親御さんが任せて下さる限り
彼、彼女とコミュニケーションを取ってその時を待ちます。
この人なら大丈夫だと感じる、信頼関係をまずは築きます。
親御さんが焦られる気持ちは分かります。
きっと彼、彼女たちが一番焦っていると思います。
自分が学校へ行っていない間も授業は進みクラスメイト達がおしゃべりをして
友達の中で段々と自分の存在が薄れていって最後には忘れられるのではないか、
教室に自分の机がもう置いてないんじゃないかと…
気が気ではないと思います。
だから毎晩「明日は行こう」と決める。
朝になって目覚めた時にふと行けなくなった原因になった瞬間を思い出す。
あぁ、やっぱり無理。やっぱりいけない。怖いよ。
自分って駄目な人間だな、親悲しませちゃうな、ごめんね。。。。
本心ではそう思ってると数回目のカウンセリングで話してくれます。
私自身も学校へ行けず悩んだ時期があり、話を聴く度にあの感覚か、と思い出します。
お子さんが心配で居ても立っても居られない
自分はどう接して何をしたら子どものためになるのだろうか?
ついつい口うるさくいって喧嘩をしてしまう。もうどうしたらいいか分からない。
ほぼ必ず親御さんから質問をされます。
「変わらずお子さんを大切に愛して下さい
今後は一緒に考えていきましょう」と答えます。
カウンセリングに通う、必要ならば受診・通院をする
それ以外はいつも通りで居てください。特別なことはしなくていいです。
親御さんが特別なことをなさると
彼、彼女たちが余計に自分がどうしたいのかが分からなくなってしまいます。
例え答えが出ていたとしても行動に移せなくなってしまいます。
彼、彼女たちはとても真面目で周りの反応をよく見ています。
そして今はとても敏感になっています。
特別なことをされると更にキャパオーバーになってしまい
ピシャリと心のシャッターを閉めてバリケードを築き上げます。
本人すら開け方が分からない程に厳重にしてしまうので開けるのは至難の業。
なのでできれば、親御さんは何事も無かったかのように
一緒にご飯を食べたり、お出掛けをしたり、会話をして下さい。
子育てで遠のいた趣味を復活させてもいいかも知れません。
親御さんがご機嫌に過ごしていることが案外大切だったりします。
いつか巣立って行ってしまう彼、彼女たちと過ごす大切な時間が増えたと思って
ただただ、共に時間を過ごして下さい。
それが私たちカウンセラーには決してできない、親御さんだけができる最大で最高のケアです。
彼、彼女たちが抱える問題を解決するのは
私たちカウンセラーでも親御さんでもありません。
他の誰でもない彼、彼女たち本人です。
私たち周りの大人ができるのは時間が掛かっても
傷ついた心を癒すケアをすることです。
何を望み、何を考えているかを知り実行に移すのは
心の傷が落ち着いたり癒えてからです。
癒えない傷に蓋をして先に進んでも
また似たような場面や問題に直面した時に蓋をした傷と新たな傷の両方に苦しむことになります。
実際、冒頭に書いたご依頼を頂く約3割の大人の方の大半が
若い頃に蓋をした傷と新たについた傷の両方に苦しみ悩んで相談にいらっしゃいます。
2つの傷を癒す長いカウンセリングの旅がはじまるのです。
彼、彼女たちは心の傷が癒える感覚をまだ知らないと思います。
恐らく初めて傷付いたのですから。当然です。
初めてのことに戸惑い悩むのは誰しもが通る道です。
人生で何度も「初めて」を経験します。
命ある限り「初めて」は0にならないのです。
彼、彼女たちは成長の最中です。
多くを学び、時に傷付き悩みながら成長をしていきます。
傷付きや悩み、失敗や挫折が成長をする糧になる場合もあります。
しかし、ご依頼を頂き対面する彼、彼女は大きなショックや他意によって挫かれた経験をしています。
人生経験を積んだ大人でも絶句してしまう、糧とは到底呼べない経験を打ち明けて頂くこともあります。
近いからこそ知られたくない。
可哀そうだと思われたくない。
心配をさせたくない。
もう思い出したくないから話して忘れたい。
そういった理由から親御さんにも周りの大人にも話せなかったと
数回目のカウンセリングで話して頂くことがあります。
信頼関係を築いて傷をケアして
自分の足で立ってみたいと思って挑戦を見守るのは
1度や2度では正直難しいです。
私たちカウンセラーは魔法使いではありません。なれたらいいですけど…。
きっと1度や2度のカウンセリングで解決するなら
ご家庭内や学校機関との関わりの中で既に解決していると思います。
傷付いた彼、彼女たちをケアする周りの大人は相応の時間と覚悟が必要になると思います。
何故なら彼、彼女たちが再び自分の足で立つには相当の覚悟が必要になるからです。
そこに関わらせて頂くカウンセラーも相応の覚悟をしてご依頼を承っております。
私のセッションではカウンセリングの前後どちらかタイミングを見てご家庭での過ごし方などを伺う時間を頂いています。
親御さんから見た様子と彼、彼女が感じている感覚とのすり合わせを行うためです。
この時間は親御さんのカウンセリングではなく彼、彼女たちの為の話合いの時間です。
この話し合いで彼、彼女からカウンセリングで知りえた話をすることはありません。
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